輸入コストを抑えたい方必見!アリババ仕入れに活用する関税率表の読み方
輸入業務に携わる方にとって、正しい関税率を知り、適用することは、コスト管理や手続きの効率化に欠かせない作業です。
そのためのツールである「輸入統計品目表(実行関税率表)」は、輸入される商品がどの分類に該当し、
どの関税率が適用されるかを確認するための基準となります。
しかし、この表は情報量が多く、一見すると分かりにくい部分もあります。
どのように分類し、適切な関税率を確認すれば良いのか、また優先順位や適用ルールをどのように理解すれば良いのか、
初めて使う方には迷うことも多いでしょう。この記事では、「輸入統計品目表(実行関税率表)」の
基本的な見方や、関税率の種類と適用ルール、さらには実際の税率確認手順までを具体的に解説します。
1「輸入統計品目表(実行関税率表)」とは?
※ 画像出典 税関 輸入統計品目表(実行関税率表)実行関税率表(2025年1月1日版)
国際貿易では、取引される商品が税関で通関される際、その素材や用途などに基づいて分類された「番号」が割り振られています。
この番号は、通称「税番」や「HSコード(Harmonized System Code)」と呼ばれるもので、正式には「輸出入統計品目番号」といいます。
「輸入統計品目表(実行関税率表)」は、これらの税番と、それに対応する輸入時の関税率を一覧で確認できる表です。
特に「実行関税率表」という副題が示す通り、実際の輸入通関時に適用される関税率が記載されており、
新規輸入品や税率の比較検討に欠かせない資料となっています。
現在では財務省や税関の公式ウェブサイトに掲載されており、誰でも簡単に閲覧できます。
「輸入統計品目表」または「実行関税率表」と検索すれば、該当ページにアクセスできます。
ご参考に、現時点(2025年1月)での最新のページをリンクしておきます。
この表を使いこなすことで、関税率を正確に把握し、輸入コストの計算や商品選定に活用することができます。
輸入業務における効率化を目指すなら、必ず押さえておきたいポイントです。
26つの税率について
2.1基本税率(General)
基本税率とは、日本の関税法で定められた標準的な税率です。
すべての輸入品に適用される税率として設定されていますが、
優遇措置(例:特恵税率やEPA税率)が適用される場合は、基本税率より低い税率が使用されます。
基本税率は「最終的なバックアップ税率」と考えることができ、特定の条件を満たさない場合に適用されるため、
税率が高いことが多いです。
2.2暫定税率(Temporary)
暫定税率は、特定の品目について一時的に定められる税率で、基本税率に代わって適用されます。
この税率は、輸入品目の供給バランスや国内産業の保護、国際経済状況などに応じて設定されるため、
基本税率より低くなる場合と高くなる場合があります。
暫定税率は、毎年改定が行われることが多いため、最新情報を確認しましょう。
2.3特恵税率(GSP/Generalized System of Preferences)
特恵税率は、開発途上国からの輸入品に対して適用される優遇税率です。
この制度は、開発途上国の経済発展を支援することを目的としており、
輸入品が「特恵受益国」からのものであることが条件です。
また、対象品目と原産地規則を満たす必要があり、これを証明するために「特恵原産地証明書」の提出が求められることがあります。
2.4特別特恵税率(LDC/Least Developed Country)
特別特恵税率は、最貧国(LDC)からの輸入品に対して適用される、より優遇された税率です。
対象品目の多くは無税であり、輸入コストを大幅に削減することができます。
この制度は、最貧国の経済発展を支援する国際的な取り組みの一環として実施されています。
ただし、特恵税率と同様に、原産地規則の適用条件を満たす必要があります。
2.5WTO協定税率(協定税率)
WTO協定税率は、世界貿易機関(WTO)の加盟国間で適用される税率です。
WTO協定では、加盟国間の関税率を一定の範囲内に抑える義務があり、この税率はその範囲内で設定されています。
WTO協定税率は、特別特恵税率やEPA税率が適用されない場合に適用されることが多く、
一般的には基本税率よりも低い水準に設定されています。
2.6経済連携協定税率(EPA税率)
経済連携協定税率(EPA税率)は、日本が特定の国や地域と締結した経済連携協定(EPA)に基づいて適用される税率です。
この税率は、協定対象国との間で設定された条件(例:原産地規則)を満たす場合に適用され、
多くの場合、関税が無税または非常に低い水準に引き下げられます。
EPA税率の適用を受けるためには、輸入品が協定国原産であることを証明する必要があります。
3関税率の適用について
3.1優先順位
輸入時に適用される関税率には、優先順位が以下の①→②→③→④→⑤と定められています。
①特別特恵税率(LDC)
最も優先される税率で、対象国からの輸入品に適用されます。
②特恵税率(GSP)
特別特恵税率が適用されない場合、次に優先されます。
③WTO協定税率
特恵税率が適用されない場合、この税率が優先されます。
④暫定税率(Temporary)
WTO協定税率が適用されない場合、暫定税率が使用されます。
⑤基本税率(General)
上記すべての条件を満たさない場合、最終的に基本税率が適用されます。
例外⚠︎経済連携協定税率(EPA税率)
EPA税率は、協定国からの輸入品に適用される特別な税率で、
上記の優先順位に関わらず、他の税率と比較して低い方が適用されます。
たとえば、特恵税率が3%、EPA税率が2.5%であれば、EPA税率が適用されます。
3.2優先順位を確認する際のポイント
●空欄の扱い
実行関税率表の税率欄に空欄がある場合、その税率は設定されていないことを意味します。
そのため、優先順位①~⑤の順で確認する際、空欄は飛ばして進めます。
ただし、基本税率はすべての品目に設定されているため、適用される税率が完全にないというケースはありません。
●実務上の役立ち方
貿易業務の現場では、輸入通関手続きの多くをフォワーダー(Forwarder)に依頼することが一般的です。
そのため、「輸入統計品目表」を見る機会が少ないかもしれません。
しかし、新しい商品を輸入する際に、この表を参照できれば税率の優先順位を把握しやすくなります。
最終的にはフォワーダーに税率を確認するのが確実ですが、事前知識として知っておくととても役立ちます。
4関税率表の品目番号(HSコード)の意味
HSコード(Harmonized System Code)は、国際貿易で使用される商品分類コードで、世界共通の基準に基づいています。
HSコードは通常6桁の番号で構成されており、上位の桁ほど大まかな分類を、下位の桁ほど具体的な分類を示します。
●最初の2桁:大分類(例:繊維製品、食品など)
●次の2桁 :中分類(例:衣類、果物など)
●最後の2桁:小分類(例:コート、リンゴなど)
日本では、国際基準の6桁にさらに3桁を加えた9桁のコードを使用しており、国内の詳細な品目分類ができるようになっています。
5実際の関税率確認手順
5.1手順①調べたい商品の分類を確認する
例として、このようなポリプロピレン素材の不織布マスクを取り上げて、みてみましょう。
●部類を確認する
商品がどの部類に該当するかを見ていきます。
このマスクの場合、「第11部 紡織用繊維及びその製品」に該当しそうです。
部注(部に関する注釈)を確認して、適合することを確認します。
※ 画像出典 税関 輸入統計品目表(実行関税率表)実行関税率表(2025年1月1日版)
●類を特定する
次に、第11部の中でさらに細かい分類を確認します。不織布マスクは、
「第63類 紡織用繊維のその他の製品、セット、中古の衣類、紡織用繊維の中古の物品及びぼろ」に該当しそうです。
※ 画像出典 税関 輸入統計品目表(実行関税率表)実行関税率表(2025年1月1日版)
5.2手順②類注を確認する
分類が決まったら、類注を確認します。
類注とは、その類に含まれる品目に関する詳細な定義や例外を記載した項目です。
このマスクの場合、類注に特に問題となる記載はないため、「第63類」に分類されることが確認できます。
※ 画像出典 税関 輸入統計品目表(実行関税率表)実行関税率表(2025年1月1日版)
5.3手順③品目番号(HSコード)を特定する
次に、商品に該当するHSコードを特定します。
不織布マスクの場合、第63類の中で「6307.90」と記載されています。
このコードが、マスクの具体的な品目番号となります。
さらに、ポリプロピレン素材に関しても確認しますが、特に明記されていない場合は「その他のもの」に該当します。
※ 画像出典 税関 輸入統計品目表(実行関税率表)実行関税率表(2025年1月1日版)
5.4手順④税率を確認する
最後に、品目番号に対応する関税率を確認します。
税率欄を見てみると、以下のように記載されています。
※ 画像出典 税関 輸入統計品目表(実行関税率表)実行関税率表(2025年1月1日版)
●基本税率:5.6%
●WTO協定税率:4.7%
●その他の税率:空欄
ここで、適用される税率は優先順位に基づき決まります。
基本税率(5.6%)よりもWTO協定税率(4.7%)のほうが低いため、このマスクの税率は4.7%であることがわかります。
6まとめ
いかがでしたか?
実際の輸入業務では、すべてを一人で解決する必要はありません。
フォワーダーや税関に相談することで、わからない問題を解決し、正確に手続きを進めることができます。
特に初めて輸入する商品に関しては、慎重に確認作業を進めることで正しい利益率の試算ができるようになります。
また、「輸入統計品目表(実行関税率表)」の見方や活用方法がわかることで、輸入業務におけるコスト削減や効率化につながります。
関税率や貿易ルールは定期的に見直されるため、常に最新情報を確認し、正確に活用しましょう。
この記事は中国輸入代行業者である中国仕入れのさくら代行が執筆しています。
中国仕入れのさくら代行 https://www.sakuradk2.com
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